最近、イベントの作り方が分からないので教えてほしいという相談がちょいちょいあります。
そこで、これまで17年にわたり複数コミュニティを運営し、年間最多で200件、延べで1,000件以上のイベントやセミナーを企画してきたノウハウを簡単に説明します。
今回はイベントページの備考欄に書く主な要素とその考え方です。
機能
案内文や開催概要は、読み手に内容とその価値を理解してもらい、狙ったターゲットに「参加」のアクションをしてもらうことです。
それに対して備考欄は、申込者の疑問や、直面し得る問題を想定して、予め対処することが主な機能と考えます。
1.問題の発生を予防して、発生確率を下げる
2.発生の場合、自分で解決できる様にする3.解決できない場合、
・影響を最小限に抑える
・主催者が意図した形で連絡が来るようにする
当日の参加までの動線
ギリギリにオフィスを出て、慌てて向かう人も少なくありません。
「場所はどこ?最寄駅は?最寄りの出口は?」となるとイライラします。
建物の入り口や、中の動線が分かりにくい時も同様です。
オフラインの場合
リンクだけの掲載は、開く手間もかかるので不親切です。
パケット制限中だと、急いでいるのにページが開かない!となります。
文字情報だけで行き着けるのがまずは理想です。
・道順を1〜3行で記述:駅・出口、目標、右折左折、所要時間
・入口や建物内の動線が難しい場合、その詳細も説明
・画像を掲載可能なツールなら、地図や写真(入口や目印)を載せる
・住所を記載(自分でMap検索できるように)
・会場リンクも載せる(URLが長い場合は短縮)
なお、これは備考より上の、会場情報に付記することも多いです。
オンラインの場合
オンラインなら、どこからどう入ればいいかの手順やリンクを記載します。
・リンク(公開の場合)
・入るための手順(非公開の場合:Peatixの「参加」ボタンを押す、など)
・分からない場合のサポートの有無
事前の対応
何か事務局から連絡がある、事前の提出物がある、というの場合、連絡手段、時期、内容などを明記しておくと、申込者は安心できます。
イレギュラー参加対応
キャンセル
有料イベントの場合、行けないのにお金を払うのは何となく癪に触ります。
条件が明記されていないと、後出しに思われ、不満の元です。
連絡不要のつもりでも、律儀に連絡する人がいて、返信に手が取られます。
設営や飲食準備、キャンセル待ち等のため、連絡必須の場合もあります。
・キャンセル連絡の要否
・連絡が必要な事情の説明
・連絡手段と連絡期限の指定
例:Peatixのメッセージで、開催前日の23:59まで
・返金ポリシー、ペナルティの有無や内容
個人的には下記理由から、ペナルティは書かないようにしています。
・申込者に悪印象を持たせる(参加意欲やポジティブな予断を減らす)
・他の参加者の程度やモラルが低いと思わせる
・そんなことを書く、主催者の程度が低いと思わせる
上記の結果、参加者の人数と質を下げる
明記しなくとも、無断キャンセルが多い人は、個別に「今回は参加者が多いので選外」などと伝え、対処すればいいのです。
途中参加
ワークショップでは遅刻するとワークが成り立たない場合があります。
当日参加OKの会の場合は、連絡されても返信が手間です。
連絡方法が各人バラバラだと、見落とすリスクもあります。
一定時間以降に会場入口が閉まり、対応が必要なこともあります。
会場まで来たのに入れなくて帰った、となると、悪印象を抱かれます。
遅れるのが悪いとはいえ、事前解決できるなら、その方がいいでしょう。
・可否
・遅れたら参加不可、何分までOK、事前連絡ならOK、無問題、など
・影響・理由(運営にとって、参加者にとって)
・コンテンツ面(ワークショップが成り立たない、など)
・運営面(夜間に入口が閉まるなど)
・連絡
・要否(理由や目的も)
・連絡手段、期限
・記載事項(考える負荷を減らしてあげる)
その他:途中退出、当日参加
途中退出可能と明記すれば、行きたいけど後ろがある人も参加できます。
逆に、通し参加必須なら、そう書いた方がいいでしょう。
当日まで参加者を積み増したければ、当日参加歓迎と明記します。
逆に、飲食などの数を確定する必要があれば、申込期限を設定します。
欠席者対応
不参加でも、資料がほしい、オンラインやオンデマンドで視聴したいと思うのは、参加者の自然の感情です。有償イベントなら尚更です。
もちろん、最終的には運営の判断で、全てに応える必要はありません。
しかし、何をどこまで対応するか、予め明示した方がいいでしょう。
・オンライン参加(リアルタイム):有無、形式、条件
・資料の事後配布:本番用か抜粋か、配布条件、形式、手続、期限
・オンデマンド(事後配信):有無、形式、条件、閲覧方法、期限
・記事化:予定有無、内容・形式、公開時期・期限、条件
・資料以外(権利、物品など)の入手可否、方法、期限
上記は出席した人にもニーズはあります。
参加者情報の利用
参加者は、自分の情報が使われることを知らずに、後でその事実を知ると、悪い印象を持つ可能性があります。
予め、何の情報を何のために誰がどう使うか、明記します。
・イベント当日の写真:公開するか、何に載せるか
・参加者リスト:共有範囲や目的
・上記の許諾や拒否の方法
領収書や証明書の発行
有償の場合、経費申請等のために領収書を求められることもあります。
受講や修了の証明が必要な人もいます。
それらの有無や方法についても明記するといいでしょう。
・発行の可否
・提供方法
・ダウンロードなどセルフサービス
・申請手順→受渡の方法
主催者への連絡方法
複数の手段で連絡が来ると、対応が漏れ、不満に繋がるリスクがあります。
参加者にとって、運営側の事情など知ったことではありません。
よって、その可能性を最小限に抑える必要があります。
体制の関係で個別の連絡には対応しないと明示するのでも構いません。
大事なのは、相手の期待値と実際の対応のGapを最小にすることです。
・問合わせ等への対応可否(その理由)
・対応する場合、対応可能な範囲/対応不可の事項
・連絡手段、連絡先
・返答に要する時間や対応期限
その他
営利/非営利
他には、改めて備考でも「非営利」である旨を記すこともあります。
目的や背景にも簡単に触れると、納得感が少し増します。
参加決定の方法(先着順ではない場合)
申し込んだからといって参加決定になるとは限りません。
定員に対して申し込みが多そうな場合、選ぶ方法を決めます。
・先着順
・抽選(ランダムに当落を確定させる)
・選抜(基準をもとに主催者が選ぶ)
・目的:趣旨に沿った人だけに参加してもらうため
なお、先着順以外の場合、申し込みした人が、自分が参加できるのかどうか、どう知ることができるのかも伝える必要があります。
・連絡手段、時期(連絡しない=当選のみ連絡、も含む)
確認方法、連絡先(連絡は受け付けない、も含む)
自分で考える
他は、内容に応じて参加者が気にしそうなことを洗い出すいいでしょう。
前提に応じて項目や順番が変わることはありますが、自分で考えて下さい。
細々と長すぎても読まれないので、重要なものを取捨選択しましょう。
以上、思いつくところを書いてみました。
これで大半のケースはカバーできると思います。
皆さんが良いイベントを企画できることを楽しみにしております。