講座をプロデュースする方法 〜2.企画編-後編

講座をプロデュースする方法 〜2.企画編-後編

自分の知りたいことを効果的に学ぶために「学びたい講座を自分でつくる」考え方とプロセスを、誰でもできるように詳しく説明します。

司法試験合格を目指す大学生が、自分のための勉強会を成立させるにはどうすれば良いか」というケースに対して、シナリオ編では成立させるための構造を考え、企画編の前編では参加者価値の観点から内容を具体化しました。

後編では、講師などの関係者や運営の観点から、企画を最終的に落とし込むプロセスを説明します。

登壇者価値を構成する

参加者価値は講座の基本ですが、参加者を一方的に利するだけでは講座は成立しません。
登壇者にとっても登壇に値するものでなければならないためです。

案内文には、講師候補が登壇するかを判断するための「提案」の側面もあります。

登壇を通じて何を得られそうか、そのための負荷はどれくらいかなど、判断材料が分かるものにします。

a. ベネフィット

今回は、将来の採用ターゲットへのリーチという仮説を立てました。
想定される参加者属性と人数が、判断材料となるでしょう。

参加者の属性はターゲットの定義の部分に記載されています。

◆この講座が役に立つ方
・今年の司法試験合格を目指す方
・選択式は安定的に合格判定を出せるが、論文の成績安定に課題を感じる

ここでは「レベルが高い」という能書きを書くのではなく、今年の合格が視野に入っている、選択式は合格判定がでているといった客観事実で判断できるようにしています。

他には、属性を取ってスクリーニングをかける、事前課題や参加費等のハードルを課すことで本気度が高い人、参加からリターンを得られる人を自己選択させるなどで担保する方法もあります。

他の場合、記事化、ブランド向上に繋がる主催者やスポンサーなども付加価値になり得ます。

謝礼金額など、案内文に記載できないものは欄外に記載して、合意・備忘のメモとします。

但し、「実現したら得られるもの」は、実現すると信じるに足る根拠が別途必要です。

b. 負荷

ベネフィットがあっても、工数などに見合わなければお断りされてしまいます。
よって、登壇者が工数を見積もるのに必要な項目を本文や欄外に明記しておきます。

工数に影響する項目
・事前のすり合わせがいるか、いらないか
・個別に資料作成が必要か、ありもので間に合わせられるか
・当日の現地入りや、講座後の懇親会などの有無

一番楽なのは、ありものの資料で、事前打ち合わせや作業はなく、当日開始直前に現地入りして、終了直後に退出できることです。

ただし、新しいコンテンツのお披露目をしたいとか、参加者と深く話したいといった要望がある場合は、ありもの資料+最短時間がベストとは限りません。
相手のニーズを確認する必要はあります。

案内本文には<当日進行>として記載できます。

<当日進行>
19:00-19:30 法律知識ゼロから2年で合格した論文独学のコツ
19:30-20:30 受験生の論文への公開フィードバック
20:30-21:00 質疑応答
21:00-22:00 懇親会

現地入り・退出時間、事前打合せの有無、資料の事前提出の有無などは欄外に記載しておきます。

「論文へのフィードバック」といっても、負荷を調整することは可能です。
・事前に目を通してコメントまで入れる
・当日会場への移動中に目を通ばいいとする
・本番中での受け応えでいいとする
・全提出論文ではなく、選抜したものにフィードバックする

講座内容の書き方も、上記のどれかが明解に分かるようにした方が、参加者の過度な期待を防げます。

登壇者の負荷や目的、参加者価値の観点で第一提案を決めて提案した方がいでしょう。

c. その他:資料、撮影、参加費、集客

経験上、他によく気にされるのは以下です。

予め仮決めして提示すれば、検討項目に漏れがあり、登壇者との認識の相違が生じることを防げます。

・資料配布の有無・条件・形式・内容、撮影可否
→全員/アンケート回答者/欠席者、紙/電子ファイル、発表資料/配布用、等
・動画撮影・配信(有無、対象、条件)
・参加費(収益目的/原価回収)
・集客協力(FBシェアなど)

資料はノウハウ流出、機密や著作権の関係で、セミナーで見せるのは問題ないが、配布や撮影はNGという人もいます。

参加者側も、費用の中に資料が含まれるのか、欠席したら資料や映像を見せてもらえないか、当然気にします。

例)アンケート回答後に配布資料の共有リンクが表示されます

参加費は、他の登壇機会との兼ね合いや自身のブランディングの観点で気にする方もいます。

他で参加費10,000円で話したのと同じ内容で参加費2,000円だとちょっと具合が悪いかもしれません。
安い参加費の場に登壇すること自体を気にする人もいます。

集客も、フォロワーの多い人ほど自分のSNSに投稿するものを明確に決めていたり、有償の講座に誘うことは信用残高を消費する行為と考えたりする人もいます。
自身の顧客リストを使うことを嫌がる人もいます。

主催側自前の集客を基本として、どこまで協力してもらえるか確認した方がいいでしょう。

多くの項目は欄外の合意事項メモへの記載となるでしょうが、資料配布や動画配信など、参加者価値を直接左右するものは本文に明記する方がいいでしょう。

note(ノート)

セミナー企画に携わる人のために、年間200講座を実現する全思考を言語化します。 今回は、企画の中身を考える前に、価値を…

参加者・関係者の都合に合わせ、開催概要を設定

ターゲットや登壇者によって、参加しやすい日時や場所が異なります。

ビジネスパーソンが私費で参加するなら、業務時間後、オフィスから行きやすい場所がいいでしょう。

受験生は、予備校や模試のない日の方がいいかもしれませんが、この場合は講師の都合の方が優先されるでしょう。

リサーチの上、決定するといいでしょう。

開催概要
日時:X月X日(金)19:00-22:00 *開場18:45
会場:山手線内で調整中
参加費:2,000円(懇親会費込) *事前決済

全体を整合し、構成する

ここの要素を考えていると、知らぬ間に不整合が起きている可能性があります。

目標人数に対して
・ターゲット属性を絞りすぎていないか
・参加費、事前課題、負荷などを上げすぎていないか
・逆に、間口を広げ過ぎていないか

コンテンツに対して
・時間が短すぎ(詰め込み過ぎ)ではないか
・定員が多過ぎ/少な過ぎではないか
・参加費が安過ぎ/高過ぎではないか

など、自身の目的、関係者の動機と企画内容や、各要素間の不整合が生じていないか、全体を通読して見直してみましょう。

なお実際は、最初から常に整合性を意識しながら内容を具体的に落とし込んでいくのであり、この段階でいきなり考えるわけではありません。

綺麗に頭から作れることはなく、各ステップを行ったり来たりして都度整合させながら、徐々に絞り込んでいくのが現実のプロセスとなります。

各要素の順序は常に同じとは限りません。
読み手の思考に合わせつつ、アピール要素は前の方に持ってきて、自然で魅力的な流れになるようにします。

作ったものは、人に見せて疑問や認識の齟齬が生じないか確認すると良いでしょう。
できれば、ターゲットに近い人が、直感的に理解し興味を持つか見られるのことが望ましいです。

今回は以下のようにドラフトしてみました。

法律知識ゼロから2年で司法試験に合格したXX弁護士による論文対策ゼミ

現役弁護士から、論文試験のコツと勉強法を学ぶ、少人数の勉強会を開催します。

講師は理工学部出身ながら、独自の方法論を編み出して2年で司法試験に合格し、現在は大手〇〇事務所で活躍するXX先生。
法律知識ゼロの状態から独学で論文をマスターした方法論をレクチャーいただきます。

実際の論文に公開フィードバックするため、当落線上レベルの受験生が陥りがちなミスや改善点が具体的に分かります。
質疑応答や懇親の時間も十分に取りますので、試験対策だけでなく、就職活動や実務の話もじっくり聞けます。

現役弁護士にざっくばらんに話を聞ける貴重な機会ですので、ぜひご参加ご検討ください。

<当日進行>
19:00-19:30 法律知識ゼロから2年で合格した論文独学のコツ
19:30-20:30 受験生の論文への公開フィードバック
20:30-21:00 質疑応答
21:00-22:00 懇親会

◆この講座が役に立つ方
・今年の司法試験合格を目指す方
・選択式は安定的に合格判定を出せるが、論文の成績安定に課題を感じる方

◆この講座のポイント
・知識ゼロから独学2年間で合格した弁護士による効果的な独習メソッド
・受験生の論文への公開フィードバックや質疑の時間も多く取ります

講師略歴:XX XX氏
<XXX弁護士事務所 弁護士、XX大学大学院法務研究科 講師>
慶應義塾大学理工学部在学中に、エンジニアをビジネスと法律の側面から支援することを志し、独学で司法試験の勉強を始める。慣れない法律用語に当初苦労するも、法律を論理的に分析する勉強法を独自に確立したことで短期間で成績を急上昇させ、予備試験から論文試験までわずか2年で合格する。XXXX年大手XXX事務所入所。知財分野を得意とし、XXX、XXXなどの案件を手がける。

開催概要
日時:X月X日(金)19:00-22:00 *開場18:45
会場:山手線内で調整中
参加費:2,000円(懇親会費込) *事前決済
定員:15名

申込方法:
・参加申込用formに必要事項を記入してください
(項目)選択式模試の成績、論文模試の成績、法科大学院、受験回数
→ http://XXXXX
・定員を超えたお申し込みをいただいた場合、記入内容により選抜させていただく可能性があります
・ご参加いただける方には本登録用リンクをお送り致しますので、事前決済願います

事前課題:公開フィードバックを希望する方は事前に論文を提出下さい
(期限:XX月XX日 23:59)
1. 下記Googleドキュメントの論文問題をコピーして下さい
2. コピーしたドキュメントに自身の回答を記入しして下さい
3. 回答を記入したドキュメントを「リンクを知っている人は誰でも編集可」に設定して、下記の論文提出用formにリンクを登録して下さい
→ http://XXXXX

以下は私が実務で使っているテンプレートですので、ご参考に。

Google Docs

講座案内フォーマット:基本項目と記載のポイント <コピーしてご利用下さい> タイトル 〜サブタイトル この講座のポ…

講座案内には、その他色々な機能もあるので、ご興味あればこちらの記事もご覧ください。

note(ノート)

コミュニティマネージャーなど「場づくりをする人のための、最も解像度の高いガイド」を作るために、年間200講座の企画と13…

次回:企画の実現に向けて

企画が具体化しても、それだけではあくまで「絵に描いた餅」でしかありません。

よくあるケースは、「良い参加者が集まるなら登壇しても良いよ」「魅力的な講師が来るなら参加しても良いよ」という状況です。

何もない中から成立させるには、どこかしらの壁をまずは突破し、そこから実現に向けて各関係者を説得していかなければなりません。

次回は企画を実現する考え方について説明します。

conecuri合同会社

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