アルムナイ調査レポート:某メーカー

活発に活動し、価値を創出している企業アルムナイの運営者に、成り立ち、活動や運営の概要、運営の工夫などを詳しく掘り下げ、他のアルムナイ運営者の参考にする取り組み。

今回は先方希望により、匿名での記載です。


調査日:2024/04/28


基本情報

名称:非公開
企業:非公開
設立:2022年1月13
発起人:後継会社の現役社員(非公開)
代表:卒業生(非公開)

登録者数:約1,900人(Facebookグループ:非公開)
参加資格:同社とそのGp会社で働いていた人
(正社員、契約社員、派遣、期間契約社員、アルバイトなど)
提供価値:交流、会社や元同僚とのつながり
主な活動:年1回の創立記念日の交流会

運営タイプ:野良型(経営:卒業生/運営:卒業生→会社連携:なし)
・運営成熟度:Lv.3)運営チームが自発的に役割分担し、活動を前に進める
収支:自主採算・固定収入:なし(活動単位で収支)
会社との連携:なし


沿革

1)立ち上げ期

経緯

  • 2021年3月末に、某社(合弁会社)が、親会社による完全子会社化で消滅
    =現役社員含め、全員が「卒業生」に
  • 22年の法人設立60周年を自主的に祝う会に先立ち、発起人が声がけして、当アルムナイを設立

準備〜開始

  • 実施決定:発起人が単独で決定
    →自身のFacebookの友達で繋がっている現役社員に声がけ
  • キックオフ:1ヶ月後(2022年2月)60周年記念のオンラインMeetup

目的や方針

  • 目的:主には交流
    • 懐かしさを楽しむ+未来に向けて勇気の湧く幸福な日々を過ごす
    • リクルートやIBMのように、卒業生同士がお互いの活躍を支援する
      • 新事業を立ち上げている起業家、経営者とのネットワーク作り
    • 同社で育んだDNAの体現者として、世の中に貢献していく

プラットフォーム選定

  • ツール:Facebookグループ
  • 選定理由
    • 主催者が日々慣れ親しんでおり、扱いやすいので
    • 関係者のみでClosedで意見交換できる

当初の活動

  • 60周年を祝う会:オンラインで数十人が参加
  • 周年記念どら焼きを自主的に作って販売
    →現役役員や元社長に買ってもらい、部下に配ってもらった

意識したこと

  • 「野良」で作ったものではあるが、所帯が急拡大(1ヶ月で1700人超)して「公共性」を帯びてきた
    →親会社へのネガティブな投稿に溢れて取り組みが潰されないよう、健全な自主規制を効かせることを意識
  • 過去の経営陣や、後継会社の現役役員(卒業生扱い)にも参加してもらい、しっかりとした会と見られるようにする

立ち上げの成功要因(自己分析)

  • タイミングが良かった
    • ブランドが完全子会社化でなくなった
    • 毎回大々的に祝っていた10周年ごとの記念日をターゲットとした
      • 市場には同社ブランドの製品がまだあるものの、どんどん親会社ブランドに置き換わっていくのを見て、ノスタルジックな気分が最高潮に達したタイミング
      • 50周年は予算をかけてお祝いしたのに、60周年は親会社から何も言われず、何かしたいという思いがあった

2)拡大期

登録者を増やす

  • 当初は発起人がFacebookで繋がっている社内の数十人に声をかけたのみ
  • 1月末の立上げ→2/5[1,000人]→2/10[1,500人]→1ヶ月で[1,777人]と急拡大
  • 新規登録者より、別の自主アルムナイ(若手SEの会)を知る
    →先方の管理人と協議し、先方Facebookグループは残しつつ、同Gpに登録していた200人も、こちらに入ってもらう形でお勧めすることで合意

投稿の統制と活性化

  • 参加承認:Facebookが公開設定で、実質、誰でも入れ、投稿できてしまう状態であるとの指摘を受け、非公開設定に変更
  • 投稿の方向性づけ
    • 未来志向の投稿を心がけるよう、運営からアナウンス
    • 6人の管理者でコメントをチェック(事後対応)

イベントの展開

  • 周年Party
    • 1回目はコロナ下にてオンライン実施
    • 2回目以降はハイブリッド開催
    • 2回目20人+、3回目は30人+に、毎回規模拡大

3)課題とビジョン

  • まだ若い人が少なく、リタイアした人が多い
    • 昔話系・茶飲み話系の投稿が多くなりつつあった
      →未来に向けたコメントを、と主催側から全体に投稿

参加者

参加資格

  • 同社とそのGp会社で働いていた人(21年3月末まで)
    • 正社員、契約社員
    • 派遣、期間工、アルバイト
  • 有資格者:5万人はいる

年代構成

  • 50代、60代が多い

属性の類型

  • ざっくりとしたイメージ
    • リタイア組が5割(この層がアクティブ)
    • 他社への転職組が3割、後継会社現職が2割
  • 今後、アンケート等で調査する構想はあり

提供価値

卒業生ベネフィット

  • 元社員にとって、現状は、会社の消失に伴う心情的つながりの拠り所としての機能が大きい。

【    】PR(会社/個人活動)
【    】営業(売り手↔︎買い手)
【    】学び↔登壇
【    】転職、副業↔採用
【    】起業家↔共同創業
【    】出資↔投資
【    】スタートアップ↔支援者
【◯】交流、会社や元同僚とのつながり

会社側の期待効果

  • 「野良」活動にて、現状は親会社や後継会社にとっての期待値はない。
  • アルムナイ運営側の意思としては、元会社出身者の活躍を認知させ、そのブランドを向上させて、現会社に貢献できることを示していきたい。

【    】採用:カムバック、リファラル、ブランディング
【    】キャリア:シニアのロールモデル
【    】育成:社員の副業先 →成長の機会(社内ではできない経験)
【    】共創:事業提携、社外の複業人材活用
【    】投資:協業先への出資
【    】取引:発注先、仕入先
【    】PR、ブランディング
【    】新たな知見や外部人材との関係


活動

1)イベント

  • 年1回の創立記念日の交流会は継続
    →今後は地方展開も視野(大阪や福岡など)
  • 100人カイギ的なカジュアルな登壇・交流イベントもやりたい
    • 目的:登壇する人が、自分の周りの人を誘うようにする

2)プラットフォーム

  • ツール:Facebookグループ(非公開)
  • 投稿数:1日1投稿くらいのペース
    • コメント数は投稿の6倍、リアクションは90倍
    • 各投稿は1,000人以上が閲覧
  • 主な投稿:昔のCM、ノベルティなど、懐かしむ系が多い
    • 例)業界動向など(競合との消耗品統合)、8年前の投稿、昔の今日にチャリティーマラソン参加、20年前のパノラマ写真、同期会の報告、社友会がコロナを理由で開催していない・・
    • メディアに出たのを引用するのは多い

3)マッチング

  • 現状、やってはいない
  • お酒の会社に転職した人がいて、その人の仕事を応援するコメントなどはある

4)コンテンツ

  • メディア:なし

収支

収支タイプ

【    】会社が費用負担
【    】自主採算・固定収入:あり(年会費などあり)
【◯】自主採算・固定収入:なし(活動単位で収支)

固定収支:なし

  • 収入
    • 年会費(参加者から):なし
    • 委託費(会社から):なし
  • 支出
    • 人件費/委託費:なし
    • ツール、設備:なし

スポット収支

  • イベント単位で精算
    • 収入
    • 支出
      • 人件費:
      • 登壇謝礼:
      • 会場費:
      • 飲食代など:

運営

運営の類型

【    】会社主催型(経営:会社/運営:会社)
【    】運営委任型(経営:会社/運営:卒業生)
【    】会社後援型(経営:卒業生/運営:卒業生→会社連携:あり)
【◯】野良型(経営:卒業生/運営:卒業生→会社連携:なし)

会社との役割分担

・責任主体:会社/◯卒業生
・意思決定:会社/◯卒業生
・参加承認:会社/ ◯卒業生
・活動企画:会社/◯卒業生
・オペレーション:会社/◯卒業生

運営成熟度

【    】Lv.1)代表1人にほぼ依存
【    】Lv.2)運営チームはあるが、代表に依存する部分がまだ多い
【◯】Lv.3)運営チームが自発的に役割分担し、活動を前に進める
【    】Lv.4)一般参加者による、分科会などの自主活動が生まれる
【    】Lv.5)代表交代が可能なレベルまで、運営がシステム化

運営体制

  • 6名(離職4、現役2)
    • Wさん:発起人 *現役社員
    • IBさん:現在の代表(独立して、人事・組織コンサル)
    • Oさん:若手SEの会 発起人(スタートアップの経営陣)
    • INさん:若手SEの会 運営メンバー
    • Sさん:Wさんの同期、会社とのパイプ役 *現役社員
    • Mさん:Wさんが勧誘(CSRのスペシャリスト)

運営への参加スタンス

  • ボランティアなので、できる範囲でやる

募集・アサイン

  • 公募や改選はしていない
    • 現行メンバーのスキルと倫理観が十分に高く、体制が機能している

規程類

  • 参加資格:簡単な目安あり
  • 行動ガイドライン:なし
  • 運営メンバー関連(任免、権限、手続、任期、定員など):なし

運営(実務)

1)運営コミュニケーション

  • 会議体
    • 定例:なし(やろうという話はある)
    • 2/20の周年イベント前には実施
    • それ以外は、半年に1回くらい集まる程度
      (対面、オンライン両方ある)
  • 定常のやり取り:メッセンジャー

2)参加承認

  • 既存参加者による招待→管理者承認(6名の誰か)
  • 在籍確認:登録者からの招待&人のつながりなどを目視で確認

3)参加者コミュニケーション

  • 6人の管理者でコメントをチェック
    (事前承認にはせず、事後対応)
  • 問題がある場合
    • 管理者で合議:管理者のメッセンジャーGpがある
    • 投稿者と対話して、修正・削除を依頼

4)イベント

  • 2/20の周年イベント前には実施

5)コンテンツ

  • なし

システム

1)活動(対 参加者)

<コミュニケーション(フロー)>
【◯】Facebookグループ(登録:約1,900)
【    】Slack

<情報共有(ストック)>
【    】Googleドライブ
【    】Notion

<コンテンツ発信>
【    】HP
【    】note
【    】Youtube
【    】その他(Facebook、X、Instagramなど)

<イベント管理・決済>
【    】Google Form
【    】Peatix

<その他>
【    】カレンダー(参加者用):
【    】オンラインイベント:Zoom(有料アカウント)

2)運営

・コミュニケーション:Facebookメッセンジャー
・記録:
・会員リスト:
・収支:
・タスク管理:
・カレンダー(運営用):
・オンライン会議:Zoom(有料アカウント)


会社との連携

コミュニケーション

  • 会議体:なし
  • 窓口:広報?(後継会社に現役の人がおり、流れ的に)

支援

  • 設備:なし
  • 資金:なし
  • 人員:なし

会社公式OBOG会

  • 有無:有
    • 対象:20年か25年勤務以上の正社員
    • 人数:約8,000人
    • 事業所単位でも社友会を開催
  • すみ分けや連携:なし