フルリモートでコミュニティ運営チームを作った話

フルリモートでコミュニティ運営チームを作った話

新型コロナの影響を受け、3月にオンラインイベントやリモートワークの知見を共有するオンラインコミュニティを立ち上げました。最初は一人で始めましたが、時流もあり順調に登録者が増えたのに合わせて運営チームを作った結果、週次のまとめ記事などはリーダー中心に自走できるようにはなりました。

フルリモートで運営チームを立ち上げたので、半分くらいはまだ対面では会ったことのない人ですが、それなりにうまく回りつつあります。そこで、今の仕組みが何とか形になるまでの試行錯誤について、記しておこうと思います。

当コミュニティについては、現状は情報シェアが主ですが、今後はアウトプットの種類を増やそうと考え、それに合わせて運営に関与する新メンバーを募り、機能分化したチームを複数作る構想があります。最後にも概要は述べますが、運営参加にご興味ありましたら、まずは下記グループに登録いただければ幸いです。

基本:再構築を前提に集める

私がよく見る運営チーム作りの間違いに「最初から体制を固める」というのがあります。手を挙げた人が全く動かないことなどざらにあります。わざわざ辞めさせるのは角が立ちますし、かと言って名ばかり残すと、動いてくれている人の公平感を損ないます。

そのジレンマを解決する方策の1つに「発展的解消を予め組み込む」というのがあります。今のチームは試行段階で、本格立ち上げの際には一旦解消するのです。それを明確にするために「準備委員会」という名前にしています。

初期メンバー集めについての詳細は稿を改めますが、基本的には、関係構築、熱量や力量を一定以上に保つために、スカウトが望ましいと考えます。しかし本件では、既に1,000人の母集団がいたため、新しい縁の広がりが期待できたことと、フルオンラインで立ち上げる新しい取り組みをするという理由で、敢えてオンライン公募にしました。

基本:「相思相愛」に向け、価値が伝わる努力を率先

時々「自分から運営メンバーに手を挙げておいて何もしない」と言う主催者がいますが、自分が勝手に言い出したことに、タダで何かやってもらうなど、そもそも図々しい話です。

ボランタリーとはいえ、お金以外のベネフィットを提供できなければ、単なるやりがい搾取です。リソースを提供する以上何かしらの算段があるのが当然で、相手にとっての価値を把握し、創り、伝え、腹落ちあるいは信じてもらうことが先です。なおベネフィットとは必ずしも経済的なものではなく「参加して楽しい」といった、精神的なものも含みます。

主な参加ベネフィット
・経験や成長
・自ら何か成果を出す
・情報や学び
・純粋に楽しい、好奇心を満たす
・実績、信用
・人との繋がり
・人の役に立つ
・必要とされ、認められる
・場への帰属、仲間意識

ベネフィットを明確にするには、実現を目指すもの、何をするか、何を得られるか、どんな時に、何をどのようにすればいいかなどを具体的にする必要がありますし、気軽に一歩踏み出せる取っ掛かりを作ることも必要でしょう。主催者がまず努力するべきです。

また、相思相愛である以上、ご縁がなかったということもあり得ます。よくよく聞いたら、やってみたら、思っていたものと違った、手を挙げたあと事情が変わった、などもあり得ます。それらはどうしても起きるのですが、手を挙げて出来なかった人に非があるのではなく、そのことで相手が申し訳なく思い、折角の縁が途切れてしまうのは勿体ないことなので、相手に非がない旨を伝えましょう。タイミングが合えばまた戻れるようにする方が良いと思います。

一方、緩いだけでは規律がなくなりますし、自発的・積極的に貢献しているメンバーが、公平でないと感じることになりかねません。実働や価値貢献しないと運営グループには残れない客観基準をつくり、双方納得づくで、定期的に人を入れ替える仕組みを作れば良いでしょう。但し、運営チームに入る入らないに良し悪しはないので、運営に入るのが偉い、運営から外れるのはよくない、という、コミュニティが陥りがちな間違った価値観を持たせないように気をつけなければなりません。

関係・文化構築:全員と1on1、意見交換会も実施

手を挙げてくれた人とは基本全員1:1で30分お話しする時間を頂きました。ボランタリーなコミュニティの基本は相互利益と公平性ですが、相手の求めるものが分からずして、相手にとっての価値は提供できないため、参加の背景や動機、コミュニティで何を実現し、何を得たいと考えているか、どのようなスタイルが好みか、どういう風に関わることができるかなど詳しく聞くためです。

同時に、コミュニティの価値観、運営の基本スタンス、今と将来の構想、課題感など、私の考えていることを伝え、意見をもらうようにしました。考えていることだけでなく、主催者の人となりも知ってもらう効果も意図しました。ボランタリーなコミュニティにはビジネスのような強制力は働かないため、納得づくで気持ちよく動いてもらうためには、相互理解と関係のベースが必要との考えからです。

希望者は30人近くおり、人によっては1時間以上話したので、費やした時間は20時間近くになりしたが、コミュニティ構築の観点からは、実は有益な時間と言えます。コミュニティの方向性が主催者の中でも明解になっておらず、メンバーとの関係もできていない段階において、何度も話すことは頭の整理になりますし、様々な人の話を聞くことで、アピールポイントや相互利益構造の解像度が上がるためです。

なお、運営初期メンバーの数は、本当は少ない方がいいのですが、断るのも申し訳なく、残る人も自ずと限られるだろうと考え、今回は入り口での選抜はしませんでした。

複数人による意見交換会も実施

並行して、オンラインでの説明会も、全員が参加できるように平日の夜2回と休日1回のような形で3回ほど実施しました。他の人の意見を聞くと引き出される話もありますし、運営メンバー同士の関係構築もできるからです。

なお、これらコミュニケーションの場は定期的に実施することが望ましいでしょう。時間やプロセスの経過とともに、各人の状況もそれぞれの関係性も変わっていくからです。定期的に実施するなどして、相互理解を仕組化をしていくと良いと思われます。

関係・文化構築:雑多な生煮えを気軽に出せる安心感を醸成

facebookなどでグループを作ったところで、知らない人同士が活発に議論をすることはまずありません。上述のような関係構築のベースを作った上で、主催者自ら率先して投げ込んだり、裏で人を突いて投稿してもらったりして投稿や返答など、やりとり自体を増やさないとなりませんし、自主的な動きがあれば褒めたりして盛り上げることも必要です。

カチッとしたものじゃないと投稿しにくいという、これまたビジネス的な思考に引きずられがちなので、主催者が率先して生煮えのものを出すくらいが良いでしょう。いつも生煮えというのも良くないので、きちんと形にしていくことも大事です。また、角を立てないために褒めるのは良くないので、建設的に異論を出し議論することも厭わないようにします。

企画にせよ議論にせよ、少々向こう傷を気にしなくらいで、もし差し障りがあれば、相手に配慮しつつ、前向きかつ理性的に改善提案をすれば良いだけです。

関係・文化構築:「すいません」は言わせない

運営に参加する個人にとって、ボランタリーなコミュニティの優先順位など、少なくともプライベートや仕事よりも下のはずです。家庭や仕事で何かあれば、当初確保していた時間などなくなり、やると言ったこともできなくなるでしょう。義務ではないので、気が向かないということだって当然あります(主催者でもあるくらいです 笑)。なのに無理を強いれば必ず続かなくなります。よって、そのような義務感や申し訳なさを持たせないようにすることに最初は注意します。

多くの人はボランタリーにも関わらず、無意識の内に、仕事のような義務感を持ってしまいます。やると言ったことができなければ申し訳ない、稼働や貢献が少ないと申し訳ないと感じる人が多いのです。できないならチームでバックアップするだけなので、気軽にSOSを出してくれる方が助かります。会社と異なり、人により割ける時間は違うので、その範囲で協力してくれればいいのです。時間が取れない時期があるなら、予め言ってくれれば織り込むだけです。そこに「すいません」という言葉は不要です。

会社で働いている以上、これらの思考は染み付いているので、そのような出来事があるたびに「すいません不要」と、理由とともに説くようにしています。

実行からの組織化:アウトプットを定め、人を募る

企画や仕組みを机上で揉むだけでは前に進まないので、とりあえず気軽にアウトプットできるものを決め、希望者を募るようにしました。まず始めたのは、facebookグループでシェアされた情報の中から役立つ情報をピックアップしたまとめ記事を作ることです。

この辺は、まとめ記事チームのリーダーである野見山さんが自身の学びも含めてまとめてくれているので、そちらに譲りましょう。

note(ノート)

こんにちは! 野見山です。 今年の5月から、とあるFacebookのコミュニティ運営に携わっています。 今回の記事で…

仕組化:誰でもできる仕組みをプロセスに織り込み、衆議と実践のサイクルで負荷なく洗練

コミュニティの運営において、仕組化により負荷を下げることは「死活問題」と考えています。コミュニティの死因の1つ「心停止」は、意欲を負荷が上回ることで発生するとしており、逆に言えば、負荷を下げれば崩壊リスクを減らすことになるからです。

関連記事

主催者を13年続けていると、様々なコミュニティの盛衰を見ます。 主催者や活動が様々なメディアに取り上げられ賑わっていたものが、数年で「Webページだけが夢の跡」となるのも、昔からよくあります。 コミュニティが終わる原因を「[…]

後からマニュアルをまとめるのは面倒臭いので、仕組化は最初からプロセスと意識に織り込む方が良いです。とはいえ、ただでさえ立ち上げの負荷がある中で手の込んだマニュアルまで作るのは過負荷になるので、初回は、作業ログをGoogleドキュメントなどに残し、可能なら画面スクショを加える程度で良いでしょう。週次レポートなら毎週実施するので、作るたびに、よりわかりやすく具体的に書いたり、誤解しそうなところを直したり、改善を重ねていけば良いでしょう。

また、人によって経験や観点が異なるので、各人がどう思うか、それはなぜかすり合わせる場を毎週設けました。ここでも机上の空論にならぬよう、実際にやってみたことを材料に当座の結論をすり合わせていきました。

3〜4回も検討会議を重ねると、あとはもう「今週は〇〇さん、よろしく」だけで回るようになります。プロセスとマニュアルも最初のメンバーで回るようになったら、あえて新しい人に頼み、説明は殆どせずにやってもらうようにします。すると、直感に反することやマニュアルの分かりにくいところがあぶり出され、更なる改善のヒントになります。

今後の構想:アウトプット多様化のため、チームを増やし、新メンバーを募る

既存メンバーともある程度の関係構築ができ、アウトプットをコンスタントに出せるチームがリーダーを中心に自走するようになったので、これからはアウトプットの種類を増やすべく、チームを増やそうと考え、そのための新しいメンバーを募ろうと思っています。

構想の具体的内容は、近々公開しようと思いますが、ざっくり言うと以下のことです。

A. アウトプットを行うチーム
1)「ゆる共」発イベントを量産するイベントチーム
2)イベントの記事化をするチーム

B. 上記のためのスキルを集中的に学ぶ場
1)イベント企画ゼミ
2)イベント記事ライティングゼミ

C. 知見創造する仕組みとしての、カジュアルな定例イベント
1)ゆるい企画に目鼻をつける壁打ち会+形に仕上げるもくもく会
2)様々なツールを一緒に試す「ツール合同自主練」

募集はグループでアナウンスするので、興味があれば登録しておいてください。オンラインイベント&リモートワークの知見・情報をゆるり共有(ゆる共)【オンライン化の知を共創するコミュニティ】 リモートワークや、コミュニティ、イベント等のオンライン化を助け合うボランタリwww.facebook.com

ご紹介:オンラインセミナーの方法論をまとめた書籍

様々な知見をまとめたのでよろしければご覧ください。